借地権トラブル事例
旧法の時代に締結された借地権契約には当事者間で契約書を作成していなかったために契約内容が明確ではないものもあり、さらに、借地権については契約更新料や建替承諾料、譲渡承諾料などの制度があります。こうした制度は他の不動産取引においてはあまり登場しない制度のため、時には当事者間では容易に解決できない問題を引き起こすことがあります。
借地に関するトラブルの例として、次のようなものがあります。
地主による借地権契約の更新拒絶
借地権契約の更新拒絶は正当事由がなければできないとされていますが、正当事由が認められるか否かについては、地主と借主が土地の使用を必要とする事情や、立退料の提供等の申出等を総合考慮して判断されます(借地借家法16条)。
建物の増改築、建替えに関するトラブル
借地上の建物を増改築や建替えするには、地主の許可が必要となります。一般的には、地主に建替承諾料を支払い、建替えの承諾をもらうことになりますが、地主の承諾が得られない場合には、裁判所に対して、増改築の許可を求める申立てをして、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることになります。
借地権を相続した場合
借地権を相続により取得しても、借地権を第三者から取得するのとは違い借地権の譲渡にはあたりません。よって、地主からの承諾を得る必要もなく、譲渡承諾料や名義変更料を支払う必要もありません。
もし、借地権を相続したことを地主に伝えた際に、譲渡承諾料等を請求されても、支払を拒否できます。
借地上の建物について相続登記をすれば、借地権を第三者に対し主張できるようになります。