空き家問題
日本全国の空き家の数は、総務省統計局の最新のデータによると846万戸であり、全住宅の13.55%が空き家となっています。
前回調査と比べると26万戸増えており、増加傾向にあるといえます。中でも木造の戸建てが大きく増えています。
空き家になってしまう一番の原因に高齢化社会が上げられます。自宅に住んでいた高齢者が老人ホームや子供の自宅に住むことにより空き家になってしまうのです。今後も高齢者の増加に伴い、空き家数が増加することが予想されます。
空き家増加による治安、防災、インフラの問題
空き家が増えると治安の悪化に繋がることが懸念されます。空き家を不法に占拠する不法侵入や放火の犯罪に繋がるからです。また、空き家には古い木造住宅が多く、耐震基準を満たしていないことが多いため、地震や台風等の災害時に倒壊したり火災になったりと、防災面で問題となっています。
空き家が増えるということは、地域に住む人が減ることを示しています。
道路を利用する家族の数が100家族から50家族まで減った場合、1家族の道路維持の負担が倍となります。そうすると道路や水道、電気といったインフラの維持が大変になってしまいます。
近隣の資産価値の低下の問題
このように空き家が多く存在する場所は、治安、防災、インフラの面で不安のある土地と評価されてしまいます。空き家は適正な管理がされていないことが多いため、劣化していて、町の景観が阻害され、地域全体の資産価値が下がってしまいます。
また、空き家の所有者は手放したい人が多いため安い価格で売却してしまいます。それにより地域の不動産相場価格が落ち、さらに資産価値が下がるという悪循環が生まれてしまいます。
空き家が増えるということは人が減ることになりますので、スーパーや病院など、生活必需の施設が撤退してしまい、地域の魅力の低下にも繋がり、住みづらい場所になってしまいます。
空き家の所有者が抱える問題
自宅に住んでいた高齢者が老人ホームや子供の自宅に住むことにより空き家になってしまった場合、住まなくなった自宅の活用はなかなか進みません。
主な原因としは、離れていても、いつかは自宅に戻り最期を自宅で迎えたいと考える方や、思い出のある家を売却することに抵抗がある方、高齢者が認知症になっていて、自宅の活用の判断をすることができないことが上げられます。
空き家を相続した後に兄弟間で売却の合意がとれないこともあります。実家の利活用に後ろめたい気持ちがあるからです。
このような理由により空き家を放置すると、空き家は劣化して、資産価値がどんどん下がってしまいます。建物が建っている土地の固定資産税の評価が下がるので、所有者は空き家を放置しがちになってしまうのです。
しかし、現在では適正に管理がされていない空き家の固定資産税は大幅に増税することができるようになりました。
また、相続人が空き家を売却した時に譲渡所得が最大3000万円控除される「空き家に係る譲渡所得の控除の特例」という制度があります。適用ができると大幅な減税になります。空き家の処分に悩んでいる方は、このような制度を利用するといいでしょう。
空き家の問題は所有者だけではなく、地域全体の問題といえます。
現在、建物の解体数は新築物件購入の数の半分ほどになっています。新しい建物が増えている中で空き家の活用や解体が追い付いていないのです。
空き家対策は重要な課題でありますので、一刻も早く適正管理がされることが望まれています。