共有物分割請求について
共有物件を所有している場合、その共有状態を解消することができます。その方法を「共有物分割請求」といいます。本ページでは、共有物分割請求の特徴と手続きの流れを説明します。
共有物分割請求とは
不動産を共有していることで、メリットもありますがデメリットも多く存在します。中でも、共有物件の売却や抵当権の設定などは共有者単独で行うことができません。このような状況を解消する為の方法を「共有物分割請求」といいます。共有状態を解消すれば、所有者が1人となり、通常の不動産と同じ扱いをすることができます。
共有物分割請求の流れ
まず、共有者全員で分割請求について話し合いを行います。しかし、そのうち1人でも反対する人がいる場合は、話し合いで決めることが非常に難しくなります。その場合、共有物分割請求訴訟を起こし、判決により共有物の分割を認めてもらう方法があります。以下、その訴訟の流れについて説明します。
前提条件
共有者間での共有物分割協議を行い、その協議が決裂している状態(協議なしに訴訟を起こすことはできません)
- 裁判所で「共有物分割調停」を申し立てを行い、協議を継続する。
※この調停は任意である為、協議が決裂した時点で1.を飛ばして2.を行っても問題ありません。 - 1.を行っても解決しない場合、裁判所で「共有物分割訴訟」を起こす。(共有物分割の方法及び妥当である根拠を裁判所へ主張・説明する必要がある)
- 2.を行い、裁判所が分割請求を認めた判決を下した場合、採用された方法について対応を行う。
- 1)現物分割・・・持分割合に合わせて土地を分筆し、当事者がそれぞれ取得する方法。(分筆できない場合や、土地自体の価値が下がってしまうおそれがある)
- 2)代償分割(価格賠償)・・・ある特定の共有者が不動産の権利を得て、他の共有者に代償金を支払う方法。
- 3)換価分割(競売)・・・不動産を売却し、その代金を持分割合に応じて共有者間で分ける方法。
上記が共有物分割請求の大まかな流れとなります。訴訟を起こしても、自分の希望した分割方法になるとは限らない為、訴訟を起こす際は十分に検討する必要があります。
裁判や弁護士の費用
まず、裁判をする際には裁判所へ「印紙代」と「郵便切手代」を支払う必要があります。印紙代は、その不動産の固定資産税評価額を基準に算出する為、評価額が高ければ高いほど印紙代も高くなります。大体、数万円程度を想定しておくとよいでしょう。
郵送切手代は、裁判の相手方が1名であれば6,000円~8,000円程度と想定しておき、人数が増える度に大体2,000円くらい増えていきます。尚、価格賠償の判決が採用された場合は、裁判所において不動産の鑑定を行う為、その費用である「鑑定費用」を請求される場合もあります。戦術した費用と異なり、数十万円程度の高額な金額となる場合があるので注意が必要です。
弁護士の費用ですが、不動産の価値や裁判の結果により異なります。さらに「着手金」と「報酬金」も支払うことになります。着手金や報酬金は依頼先の弁護士により大きく変動する為、事前に調べておくことが重要です。
最後に
共有物分割請求について説明しましたが、費用や時間について考えた際には共有者間での話し合いで完結することが一番望ましいです。裁判に持ち込む場合はそれなりの費用や時間、労力が必要となる為、最終的に得られる利益と費用を十分に想定してから検討することが大切です。