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意思能力と不動産売買

日本では高齢化が進んでおり、高齢者による不動産売買取引が増加することが見込まれます。
それに伴い意思能力が無いことによる契約の不成立や無効を争うトラブル、契約の途中で高齢者が亡くなる問題が起きています。

意思能力とは何か

意思能力とは自分がした行為によって、法的な効果が起こることを認識できる能力のことです。契約の難易度重要性によって判断は変わってきます
不動産取引で必要な認識は、不動産を売る行為によって不動産を失い、代わりに売買代金を得ることを認識できることです。

意思能力が無い状態でした不動産売買の契約は無効となります。
目安として要介護認定度3以上だと、意思能力が低下している危険があると言われています。
本人への聞き取りも判断の材料となります。年齢や売買をした動機、現在の生活状況、健康状態、成年後見人がいるか、取引には代理人がいるか等聴取し総合的に判断をする必要があります。
契約者本人が契約に立ち会わない場合は、代理人代理権があるか確認しましょう。また、普段の財産管理を誰がしているか、財産管理人と代理人が一致するか等確認することも大事といえるでしょう。契約の際に本人に会えない場合でも、別の場面で直接本人と話をして、事実関係や意思を確認しましょう。「はい」等の返事だけで売却の意思を確認するのは不十分ですので会話をして確認をすることが重要です。

意思能力がない場合の不動産売買

重度の認知症の親の介護費用のために、親の不動産を売買する場合、意思能力がありませんので、高齢の親が契約の当事者になることはできません
また子供を代理人に選任することも法律行為になりますので、子供を代理人として選任することもできません。その場合は成年後見制度を利用して、成年後見人が代理人となり契約をすることになります。
成年後見人は高齢者の全ての財産管理権を持ちますので、不動産だけに限り選任することはできません。通帳や他の財産も成年後見人が管理することになります。
後見人は裁判所がふさわしいと思う人を選任します。親族が選ばれることもあります。
選ばれた後見人は、本人のために必要な代理行為をしますので、不動産の売買が必要でないと考えれば、契約をしないこともあります。不動産の売買は、重要な取引になりますので、家庭裁判所の許可が必要となります。

売買契約後に亡くなった場合

意思能力に問題が無く、売買契約が成立した後に、所有者ご本人がお亡くなりになることもあります。
その場合は、相続人を探すことになります。
相続人の探索はお亡くなりになられたご本人の出生から死亡と、相続人に該当する人全員の戸籍を取得して行います。売買契約の引き渡し日までに探すことは時間的にも困難なことがあります。
無事に引き渡し日までに相続人が判明した場合は、売却することに相続人全員の承認が必要です。全員の承認が得られなかった場合は、精算の協議をすることになります。

このように高額な財産である不動産の売買では意思能力の有無の確認が重要となります。新しい所有者が住んだ後に契約が無効となった場合の賠償責任も大きくなります。
また、意思能力の有無の確認と併せて、相続人となる親族間に不平等が生じるような取引でないか確認し、将来の問題に発展しないように確認することも重要と言えるでしょう。

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