境界トラブルについて
ここでは境界トラブルについてご紹介します。
境界は大きく分けて筆界と所有権界の2つの意味があります。
筆界とは法律により定められた公法上の境界のことで、土地の売却をする際に基準となるのがこの筆界です。
所有権界とは土地の利用状況で決まる境界のことで、筆界と異なり話し合いによる合意によって決めることができます。
この筆界と所有権界は一致する場合が多いのですが、一致しない場合にトラブルが起こってしまいます。
筆界と所有権界がズレる理由
土地と土地の境や、土地と道路の境には「境界標」という四角い杭があります。この杭が地震や洪水等の災害によってずれたり、行方不明になる場合や、そもそも設置場所が誤っている場合など物理的な理由でずれることがあります。
他にも法律の効果としてずれる場合があります。隣地所有者が自分の土地の一部を使用している場合でも、その部分の固定資産税を支払うのは所有者となります。その状態を解消するために、土地の一部を使用者に譲渡することができます。
また、所有者以外の者が長年使い続けると時効取得することができ、所有者が変わることがあります。
境界トラブルを解消する方法
境界のトラブルを解決するためには、正しい位置を特定することが必要です。このずれた境界を定め直すためには、正しい境界点を土地家屋調査士に確定してもらう必要があります。このような境界確定の方法を確定測量といいます。
新しい境界点が、塀の位置と違うことがわっかった場合は、塀を作り直し、隣地をはみだして使っていた部分は購入をしたり、売却をすることで解決をします。
公的な方法により境界トラブルを解消する方法として法務局が主体として行う筆界特定制度や、裁判による境界確定訴訟があります。
相続人による境界確定の難しさ
境界を確定するためには、その土地に隣接する土地の所有者全員と、境界の場所が同じであることを確認する必要があります。
その土地に住んでいない相続人が、土地の利用状況を把握することは困難であると言えます。また、隣地所有者と面識が無いことが多く、相続人による境界の確定は難しい作業となります。
境界が確定すると、役所に提出する書類や、法務局に提出する書類に、相続人全員が連盟で署名する必要があります。
相続人が多数いたり、遠方に住んでいたり、代理人により手続きを進めていたりと、様々な状況がありますので、書類の取り付けは手間を要します。
相続税の支払いのために不動産を売却をする場合は、相続があった日から10か月以内に相続税を支払う必要がありますので時間の余裕がありません。
自分の土地の境界や、隣地所有者を早めに確認しておくことが相続のトラブルを解消する方法となります。
このように境界にトラブルが起きた場合、解決をするためには時間とコストがかかります。測量の際に打ち込まれた木杭だと何年か経つと腐敗してしまいますので、永続性のあるコンクリート等の境界標を埋設するなど、紛失しないように対策をしましょう。
土地は貴重な財産ですので、きちんと管理をして時々自分でも確認しましょう。相続人に境界標の場所を伝えておくことも大切です。
一番重要なのは、ご近所とコミュニケーションをきちんとしておくことです。人間関係を良好にしておいて境界について共通認識をもっておき、トラブルに発展しないようにしましょう。